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【プレ対談】横浜FC 奥寺 康彦会長を迎えて

奥寺 康彦会長プロフィール

1952年3月12日生まれ。秋田県鹿角市出身。父の転勤で小学4年の時、横浜市に転住。横浜市立舞岡中学校でサッカーを始め、相模工業大学附属高等学校(現湘南工科大学附属高等学校)から1970年に日本サッカーリーグの古河電気工業サッカー部(現・ジェフユナイテッド市原・千葉)に入部。ユース代表を経て日本代表に選出される。
1977年10月、ドイツFCケルンと契約を交わし正式に入団。ブンデスリーガのベンチ入りを果たし、対MSVデュースブルク戦で先発デビューを飾った。
現在、株式会社横浜フリエスポーツクラブ(横浜FC)代表取締役会長兼ゼネラルマネージャー。

上関 康樹理事長 プロフィール

上関 康樹/全国共済神奈川県生活協同組合 理事長
1954年横浜生まれの横浜育ち。大学卒業後、金融機関勤務を経て、平成6年12月、全国共済に。
生粋の浜っ子で、神奈川への想いはひと一倍、そして未来の神奈川を担う子どもたちへの愛情と責任も感じていて、おもに子どもたちをどう支援していくかを考えている。
趣味はアンティークと自転車。週末はロードサイクルで走ることも。

いじめや不登校、虐待など子どもを取り巻く状況が悪化し続けているいま、大人に求められるものは何か。よこはまチャイルドラインにご支援いただいている2つの団体、すなわち「助け合い」の精神で生活を応援する全国共済専務理事、上関康樹さんと、スポーツを通しての社会貢献を考える、横浜FC会長、奥寺康彦さんが熱く語り合いました。
(司会および記録はよこはまチャイルドラインの徳丸のり子)

司会

昨年より全国共済さんからご支援いただくようになり、おかげさまで、横浜市のみならず神奈川県内すべての地域の子どもたちにもカードを届けられるようになりました。また、横浜FCさんにはカード配布などでご協力いただいています。
いつもチャイルドラインへのご支援、ほんとうにありがとうございます。きょうは、活発な話し合いができたらと思います。よろしくお願いいたします。

泥臭い子どもがいなくなった

司会

上関さんやわたしたちの年代では、奥寺さんはスーパーヒーローです。70年代当時、世界最高峰のリーグと言われたドイツのブンデスリーガで日本人プロサッカー選手第1号として、9年間レギュラーで活躍されました。三浦知良、中田英寿、中村俊輔など、いまでこそ海外でプレーする日本人選手は増えましたが、9年間レギュラーを守りとおした選手は未だにいません。そして、その正確無比で安定したプレースタイルでドイツのファンからは「東洋のコンピューター」というニックネームで呼ばれ賞賛されました。
そんな奥寺さんから見て、最近の若い選手たちをどのように思われますか?

奥寺

最近はがむしゃらというか泥臭い選手が少なくなりましたね。素直でおとなしく、いわゆる「いい子」が多いのですが、なんというか向かってくる強さが感じられない。

上関

そうですね。わたしも今の子どもたちを見ていて、これでいいのかなあと思うこともしばしばです。打たれ弱いというか、なにくそと歯を食いしばってがんばる子どもがほんとうに少なくなりました。都会的といえばそうなんでしょうけれど、力強さに欠けるのではないでしょうか。

奥寺

ええ、ここ一番というときにふんばれませんし、きついことを言われると、シュンとなってしまいます。子ども時代の遊びや教育に関係があると思いますが。

上関

わたしが子どものころは、まだ自然も豊富で、ガキ大将のもとで徒党を組んで遊んでいました。子どもの世界にも序列があり、そこで鍛えられた(笑)。嫌だなあと思うこともありましたが、外部からはしっかり守られていました。
それに、なにか悪いことをしたら親はもちろん、先生や近所のひともきちんと叱ってくれた。まあ、ときに手が出ることもありましたが。

奥寺

小さいときの遊びや教育はすごく大事なのに、いまの親は過保護というか、先回りしてしまいますよね。子どもを守っているつもりかもしれませんが、守り方が違う。
子どもはやっぱり、スポーツでも勉強でもなんでもいいんですが、なにかに挑戦することがすごく大切だと思います。「やってみよう」と思う子どもの気持ちをおとなは黙って応援する。たとえ失敗しても、それが成長の糧になるんです。失敗をおそれるあまり、みんなチャレンジしなくなったのではないでしょうか。

上関

そうですね。今まで生きてきて失敗したことがないというおとなはひとりもいないはず。人間は得意のなかではなかなか学べない動物で、失敗のなかから学ぶことが多いですよね。そう考えたら、失敗は人間にとってとても貴重な経験になるんです。要は、失敗をどう次に生かすか、ですね。そこには当然、まわりのサポートも必要になってきますが、子どもたちにはあまり先のことを心配しないで大いにチャレンジしてほしいですね。
また、子ども同士で泥んこになって遊んだりけんかしたりすることがとても大切なのに、今の子どもたちはそれすらもさせてもらえません。だから、人の話は聞くことができても、自分で打開していく力が育っていない。

司会

子ども同士がお互いに養っていくものって大事ですよね。

思い出深い中学2年のときの事件

司会

印象に残っている子ども時代の思い出を聞かせてください。

上関

わたしは子どものころは真面目で委員長もやっていたんです。忘れもしない、中学2年のときです。ある日、2階の窓からたまたまぞうきんが落ちた。それがこともあろうに、下を歩いていた先生の頭の上に落ちたんです。自分をめがけて落とされたと思った先生は烈火のごとくおこって、それから1週間は犯人探し。実は委員長のわたしも、先生と一緒になって犯人探しをしてしまいました。結局、だれがやったかわからなかった。風が吹いたかもしれませんしね。
それで、クラスのみんなを疑った自分が恥ずかしくて。なんで先生の言うこと聞かなくちゃいけないんだと思って、自分がいやになり、落ち込みました。
でも、そんなことがあって自分が変わったんです。みんなにすまないと思って謝ったら、クラスの友だちと打ち解けることができ、親しく遊べるようになりました。学校生活がぐんと楽しくなった。
万年ビリだったリレーでもみんなの団結力で、3位になりましたしね。いやあ、友だちの力は大きいです。

司会

すてきなお話ですね。奥寺さんはいかがですか。

奥寺

わたしは秋田の出身で、両親が働いていたので、いつもは祖父と祖母と妹の4人。実はわたしもおとなしくてやさしく、大人に迷惑をかけない子どもでした。つまりは、自分を出せていなかったんですが。
運動神経もそれほどよくなくて、野球はいつも9番バッター、ライトです。それが中学生になって、友だちに誘われてサッカー部に入ったことで、少しずつ変わりはじめました。自分を出せるようになったんです。
そして、やっぱり2年のとき、事件は起こりました。部活をさぼって体育館の裏で女の子たちとわいわいしゃべっていたんです。なにせ、青春真っ只中ですからね。するとそこへ、不意に部活の先生がやってきた。もうビックリ、おこられると思い一目散で逃げました。その後、おそるおそる部室に荷物を取りに行ったら、先生がいて、「おまえはもう部活をやめていい」と言って、いきなり殴られました。くやしくてくやしくて、家に帰って親に話したら「お前も悪いことしたんだろう」とひと言。
翌朝、本当は行きたくなかったのですが、当番だったので仕方なく職員室に行ったら、先生は普通にしている。部活も「どうしよう」と悩みに悩んで行ったら、なにもなかったかのように先生が接してくる。えっ、どうなってんの、と思いましたが、わたしも知らんふりしてサッカーに打ち込みました。
結局、先生が言いたかったことは「こそこそ逃げるんじゃない」ということなんだと思います。きびしかったけれど、いい先生でした。先生や友達のおかげで今の自分はあると思います。

司会

おふたりとも同じ中学2年のとき、というのが興味深いですね。多感な時代ですから、人生の土台がつくられることもありますね。

子どもはたくさんのまなざしのなかで育つ

上関

やっぱり、大人もちゃんとしなくちゃいけませんね。なにかあるとすぐ学校にクレームつけたり、権利の主張ばかりする大人が増え、大人になれない大人が増えてきました。子どもはいつの時代も大人をじっと見ています。子どもがおかしいと言う前に、大人がわが身を振り返るべきでしょう。

奥寺

そうですね。「自分さえよければいい」という考えをまず、大人が改めるべきです。そして、自分の子どもだけでなく、ほかの子どもたちも同じようにみてほしい。たくさんの大人のまなざしのなかで子どもは育つと思うんです。

上関

おかげさまで、全国共済も神奈川県のみなさんに育てていただきました。わたしたちは非営利で、「おたがいさま」「万人は1人のために」が基本的な考え方です。
実は、チャイルドラインを支援するようになってうれしいことがありました。普及員さんがそのことを喜んでくれたんです。いじめの問題などチャイルドランから学ぶことも多く、あらためて子どもが生きていくには、親や先生のような「縦の関係のおとな」ばかりでなく、ちょっと離れた近所のおじさんおばさんのような「ナナメの関係のおとな」がどれだけ必要かが理解できるようになりました。子どもが育つには、ほんとうにたくさんのまなざしが必要です。
そういう意味でも、人間関係が希薄になった今の時代、チャイルドラインの存在は大切です。普及員さんも子どものいるひとが多いので、ひとごとではないんですね。「チャイルドラインを支援しているような企業で働くことを誇りの思う」と。

奥寺

子どもたちへの支援は、その家族をも支援していることですよね。いつの時代も子どもは家族の中心ですし、子どもが健全に育たなかったら、家族の幸せなどありえません。
横浜FCは、これからもサッカーを通して子どもたちへの支援をつづけていきますが、一方で、やはりチャイルドラインのような活動も応援していきます。だって、「体」と「こころ」を切り離すことはできませんし、どちらも大事ですから。

上関

子どもは未来です。子どもへの支援は日本の未来を創ること。サッカー大会やマラソン、バスケットなど子どもたちのスポーツ活動や文化的な活動、チャイルドラインへの支援を通して神奈川県に少しでも恩返しをしていきたいですね。同時に、全国共済をもっともっと広めていきたいですね。

奥寺

同感です。神奈川県には他県とくらべて多くのサッカー・野球のプロチームがあります。そのような環境があるなかで、いかにして子どもたちを外に引っ張り出し、生き生きと体を動かせるかだと思います。
スポーツを楽しめるような環境をつくっていきながら、地域貢献をやっていきたいですね。もちろん、われわれのチームもがんばりますので、ぜひ三ツ沢競技場に来て応援してほしい。
そして、行政や全国共済さん、ほかの団体などともコラボして、一緒になにかやっていきたいですね。お互いが垣根をこえて刺激しあい、ともにつくりだしていく。そんな大人の連携こそが大切なのかもしれません。
それと、もうひとつ。おとながもっと余裕をもって子どもたちを見守り、少しぐらい危ないこともさせてみる。本来、子どもって危険なことが大好きですし、そこから学ぶことも多いはず。

上関

まったくそのとおりだと思います。まあ、おケガされたときのために全国共済がお役に立たせていただきますから(笑)。